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弔い委任の提唱 日本弔い委任協会

 

お寺でできる死後事務委任契約

 ───〈日本弔い委任協会〉について

 

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おひとり様や子どものいないご夫婦の

「弔ってもらいたい」という気持ち

  
檀家のおばあさんが、お金を持って、「住職さん、このお金で、私のお葬式をあげてもらえないですか?」と訪ねてきたことはありませんか?
あるいは、高齢でおひとりさまの檀家から、「住職さん、私のお葬式は、だれがやってくれるんでしょうか?」と聞かれたことはありませんか?
少子化が進む中で、「跡継ぎ」のいない人が増えてきました。
 
息子はいるのだけど、結婚していないという家も少なくありません。都会でも地方でも、潜在的には三割くらいの檀家が、将来、家が絶えると言われています。
 

そうした中、自分の弔いを心配する人も増えています。
例えば、子どものいないご夫婦の場合ですと、つれ合いを見送った後に、自分の弔いをしてくれる人がいないことに気づきます。誰も弔ってくれないと いう現実に直面した時の不安は、とてつもなく大きいものです。
 
実は、こうした方々のために、家族に代わって喪主の役割をする仕組みがあります。
一般的には死後事務委任契約といい、人間の死後に必要となる、事務的な処理、例えば、役所関係の手続き、金融機関の手続き、医療費の支払い、そして葬儀・納骨などを、事前にお金を預けて、第三者に委任することが可能です。
実際この受け手となるのは、NPOや士業(司法書士、行政書士)などとなりますが、私は、お寺に縁のある方々は、お寺に委任したほうがいいと考えております。
 
もちろん死後の事務的なことで、お寺に相談する人はいません。お寺に相談するのは、間違い無く葬儀と納骨です。事務的なことも大切ですが、やはり弔われない不安は、死後の自分がほんとうに安らかでいられるかどうかわからない不安でもあるわけです。お寺は、そうしたことにこそ、関わるべきだと思います。
 
寺院デザインでは、約3年にわたって、お寺が行う死後事務委任の仕組みを、各方面の専門家とともに議論してきました。これまで専門的な知識を持っていないと導入できなかった死後事務委任ですが、普通のお寺が導入しやすく、一般の方々が相談しやすい仕組みを構築させていただきました。
そしてこの度、この仕組みを「弔い委任」と名付けて、これを必要と考えるお寺に提供させていただくことになりました。
 

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永代供養墓には必要不可欠

 
 近年では、永代供養墓を運営しているお寺も増えていると思います。
この永代供養墓に申し込んでいる方のかなりの割合が、子どものいない方です。最近の永代供養墓は、後継者がいても申し込む人が増えているのも確かですが、今でも申込者の半数以上は、後継者がいない方です。
 
そして、後継者がいなくて永代供養墓に申し込んだ人の一定割合の方が、亡くなっても申し込んだ永代供養墓に納骨されないという現実があります。
お寺には連絡すら来ないということが少なくありません。
そして下手をすれば、きちんとした葬儀すらあげられずに、行政や施設によって、直葬で、公営墓地の合祀墓に納骨されてしまったというケースもあるでしょう。
その人の葬儀をできないどころか、申し込んでいただいた永代供養墓に納骨することもできない可能性もあるのです。
喪主がいない、後継者がいない、という現実は、こうした事態を招いてしまう可能性があるのです。
 
そしてお寺は、亡くなったことにすら、しばらく気づかないということになります。
こうした方々に対しても、「弔い委任」を提案する必要はあります。永代供養墓に申し込む当人は、おそらく自分がそうした状況になることすら、予想していないと思います。お寺側から、「大丈夫ですか?」と水を向けることで、初めて現実に気づくと思います。
 
つまり永代供養墓の申込者には、「弔い委任」が無くてはならないのです。「このお寺のお墓に入りたい」という申込者の思いを実現させてあげるためにも、「弔い委任」が必要不可欠なのです。
 

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きちんとした手続きが必要

 
実はこれまでも、檀家からお金を預かって、「お葬式はちゃんとしてあげるから、安心して」と約束してきたお寺は少なくないと思います。
檀家に対する親心から引き受けているのだと思いますが、安請け合いしてしまうと、思わぬ落とし穴があるのも事実です。
 
ひとつは、檀家が「私のお葬式をしてもらえないですか」と言う場合、導師をつとめて欲しいという意味ですが、現実には、最低限、遺体の搬送、火葬も必要ですし、そのためには誰かが葬儀社に依頼をしなければなりません。
「それは頼まれてないし、お寺のやることじゃない」と言うのは簡単ですが、喪主となる人がいないからお寺に頼んでいるわけで、こうしたことも誰かが行わなくてはならないのです。つまり、葬儀社の手配をしないと、故人の想いが実現できないということです。
そのためには、お布施分だけでなく、葬儀社への支払いのお金も預かる必要があります。
 
また、当人が亡くなった、という連絡を、迅速にもらえる体制も整えておかないと、気がついたら火葬した後だった、という可能性もあります。そうならないためには、福祉関係者との連携も必要になってきます。
 
また、お金を預かることになるわけですから、やはりきちんとした契約書は必要です。それも、公証人役場で公正証書を結ぶことが好ましいでしょう。
後から親類が出てきて揉める可能性も無いわけではありませんので、法的な書類はきちんとしておかないと不安です。
 
もうひとつ、お金を預かるのですから、その預かり金の管理が必要となります。これもできれば、信託会社などと契約しておくことが望ましいでしょう。
こうしたリスクを無くすためには、お寺の力だけでなく、様々な専門家や地域のネットワークを生かすことが必要になってきます。
司法書士、行政書士など法律の専門家、福祉関係者、葬祭業者、信託会社などは、「弔い委任」を実現するためには必要不可欠なのです。
 
また地域と連携するということは、地域全体で支援するということだけでなく、役割を分散させることで、支援する側、特にお寺の負担を軽くするという意味もあります。
 

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「弔い」から「看とり」へ

 
おひとりさまの高齢者が、自らの死後の相談をお寺にする場合、その内容は、九割九分、お葬式と納骨のことです。
しかし現実には、人間は死の前後で、さまざまなことを行わなければいけません。それは事務的なことから、精神的なこと、あるいは宗教的なこと、様々な事柄があります。
 
死後に関して言えば、前述の役所関係の手続き、金融機関の手続き、医療費の支払いなどがそれですし、葬儀、納骨後の四十九日、一周忌、その後の年回法要も必要でしょう。
 
そして亡くなる前でも、認知症になれば誰かが成年後見人にならなくてはなりませんし、施設に入るためには身元引受人が必要です。
当然、これらすべてをお寺で受けるわけにはいきませんので、前述の専門家や地域のネットワークを生かす必要があります。
ほとんどの場合、こうした多岐にわたる相談に発展するわけですが、それは、現代におけるお寺の可能性を飛躍的に広げることにつながります。
 
つまり、お寺が「看とり」に関われると言うこと、人が亡くなっていくそのプロセスの中で、その人と関わることができるということです。
現代において、お寺が人々の「看とり」に関わることのできるケースはとても少なくなっています。本来は仏教が担うべきことでしたが、残念ながら現代では、檀家であっても亡くなってから連絡が来るというケースが大部分です。余命宣告を受けた時に、僧侶に相談しようと考える人は、ほとんどいません。もはやお寺は「看とり」に関して何も期待されていない、というのが現実です。
 
しかし、この「弔い委任」は、弔いの相談から、「看とり」へと発展する可能性を秘めています。「弔い委任」をきっかけに、コミュニケーションが増え、終末に近づいていく中での様々な悩みを相談するようになることは、とても自然な流れです。
これは、「看とり」から遠ざかっていたお寺が、再び「看とり」の場となっていくための第一歩であると思います。
 

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「弔い委任協会」と「弔い委任講座」

 
そしてこのたび、この「弔い委任」を広めていくため、「日本弔い委任協会」を設立し、「弔い委任」の仕組みづくりサポート、情報交換、そして社会に対する広報活動を進めていくことになりました。さらには自前で仕組みをつくることの難しいお寺には協会が用意したネットワークを利用できるよう環境を整えています。
 
発起人には、寺院デザインの薄井秀夫の他、長井俊行氏(一般社団法人つむぐ代表理事)、元木翼氏(チェスナット司法書士法人代表)、池邊文香氏(株式会社せいざん)になっていただき、今後、様々な活動を進めていきたいと考えています。
そして、最初の事業として、第一回の「お寺のための弔い委任講座」を開催したいと考えています。
「弔い委任」を、自坊の活動に取り入れたいと考えの方は、ぜひご参加いただければと思います。
  
日本弔い委任協会代表 薄井秀夫
          (株式会社寺院デザイン代表取締役)
 

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