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家族葬はけしからん?

 

仏教の各宗派で行っている僧侶向けの研修会で講演を依頼されることがありますが、
講演後の質疑応答や懇親会などで、葬儀社への批判的な発言が出ることがしばしばあります。
  
最近多いのは、「葬儀社が、家族葬や直葬を広めようとしていて、けしからん」という発言です。
 
確かに、最近、家族葬や直葬を強調して宣伝をしている葬儀社が増えています。
直葬はともかく、家族葬を宣伝していない葬儀社は、ほとんど無いと言っていいほどです。
参列者を多く受け入れる一般的な葬儀から、家族葬や直葬が主流になっていくことを、僧侶の立場としては「好ましくない」と考えるのは当然です。
葬儀を行わなかったり、参列者を呼ばなかったりということは、伝統的な葬儀のあり方を壊すことですし、故人の供養という意味でも不十分さは否めません。
 
ただ、「葬儀社が、家族葬や直葬を広めようとしている」というのは、正しくはありません。
ほとんどの葬儀社は、本音では家族葬や直葬を望んではいません。
 
家族葬や直葬が、話題になり始めたのは、十四、五年前からです。
マスコミなどを中心に、急激に家族葬や直葬という言葉が広まっていきました。
 
そして当時、ほとんどの葬儀社が言っていたことが、「マスコミが、家族葬や直葬を広めようとしていて、けしからん」ということです。
考えてみたら当たり前ですが、家族葬や直葬を受け入れることを葬儀社が喜ぶわけがありません。
家族葬や直葬が増えることは、葬儀社の利益が減ることと直接つながっているからです。
家族葬や直葬という、今までとは違った新しいものが出て来て、しかもそれが、自分たちにとって不利益をもたらす可能性のあるものだったなら、人間誰しも反発するものです。
 
しかしあれから十年以上の月日がたち、そうした発言をしている葬儀社は殆どありません。
年月が経過する中で、多くの葬儀社は、そうした流れは止められるものではないということが理解するようになってきました。
しかも、必ずしも供養の心が無くなっているわけじゃなく、そうせざるを得ない状況をかかえている人が多いという現実もあります。
それならば、その中で、どのように仕事をしていこうかと考え、家族葬や直葬というメニューを、自社の業務に加えていこうというのが自然です。
 
家族葬や直葬を増やしている犯人は誰か? それは葬儀社ではなく、社会構造です。
地域社会の結びつきが弱り、会社での人間関係が変質してきたことで、家族葬や直葬でも不都合が無くなってきたことです。
そして何よりも、亡くなる人が高齢になってきたことです。高齢の方の葬儀は、参列の人は少なく、自ずと家族葬になります。
 
つまり、この現実を批判しても、家族葬や直葬は無くならないということです。
 
むしろお寺がすべきことは、現代の社会環境の中で、家族葬や直葬を選ぶ、こうした人の声に耳を傾けることです。
そしてその人たちの気持ちを理解し、何ができるかを考えることじゃないかと思うのです。
 
 
 

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