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イベントの内容は目的にあっているか?

先日、あるご住職が、相談で弊社を訪れました。その相談内容というのは、お寺でイベントを行っていて、人もだいぶ集まりようになり、また地域でもだいぶ認知度があがってきたが、なかなか教化布教に結びつかない、というものです。
具体的には、これまでコンサート、映画会、ヨガ教室、文化講演会などを開催し続け、五年間で檀家以外に三百人以上の人が訪れているとのことですが、その中で、檀家になったのはたった一人のみということでした。
 
相談の趣旨は、こうして頑張ってイベントを行っているが、何をどうしたら、もっと効果的な教化布教ができるのかということでした。
 
弊社への相談の中で、イベントに関するものはとても多く寄せられます。今回の相談と同じ内容の相談もかなり多いです。
 
 
 
 
私は、こうした相談を受けた時、必ずお聞きすることがあります。それは、「どういった目的で、イベントを開いているのですか?」ということです。すると、皆さん、口をそろえたように「開かれたお寺にしていくためです」と答えます。
 
しかし、「開かれたお寺」になることは、目的ではなく、プロセスに過ぎません。大切なのは、「開かれたお寺」になって、その結果、何をどうしたいのか、ということです。
 
相談の方は、檀家や信者が増えない、とおっしゃっていますが、どうも話を聞くと、イベントが檀家や信者になる可能性のある人に向けた内容になっていないのです。
 
コンサートや映画会、ヨガなどのイベントは、どちらかというと若い人が集まりやすいイベントです。しかも、こうしたイベントに来る人は、今すぐに菩提寺を必要とするような人ではありません。
 
檀家や信者を増やしたいのであれば、菩提寺を必要とする人などを対象にした内容にすべきです。こうした人は、昔ながらの古い行事のほうに興味があります。あるいは、葬儀やお墓に関する勉強会などなら興味を持ってくれるでしょう。
これらは、派手なイベントに比べ、人が集まりにくいかもしれません。しかし、いくら人が集まっても、関係の無い人が集まっただけでは、行なう意味がありません。
 
相談者の場合は、布教対象とはならない、関係の無い人を集めてイベントを続けて来ただけです。
つまり、イベントの内容と目的がずれているのです。イベントを通して檀家を増やしたいと思っているのなら、それにあった内容にすべきだし、イベントよりも効果的な方法もあるはずです。
 
お寺のイベントは大流行で、お寺に親しみを持ってもらうという点では、全体として大きな成果をあげています。
 
しかしイベントの行うお寺の多くは、明確なヴィジョンを持ってイベントを行っていません。
「こうした時代だから、お寺もイベントを行わなければならない」という意見は、もっともらしく聞こえますが、実は何の根拠もありません。
 
大切なのは、明確なヴィジョンを持っているかどうかです。それがあるなら、イベントを行うことは、とても価値があります。
 
しかし、イベントは行わずに伝統的な行事に専念するということも、決して後ろ向きの選択ではありません。もちろん、行事そのものにもイノベーションは必要ですが、伝統的なものに専念することも素晴らしいことです。
 
要はイベントをすることが大切なのではなく、やるにしても、やらないにしても、中身が大切だと言うことです。

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