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お寺がエンディング支援をするということ

 あるお寺のために、エンディングサポートに関わるプロジェクトの立ち上げをコンサルティングしていましたが、実際に活動が始まり、檀家さんや地域の方々のサポートができるようになるのに、約一年半がかかりました。
 
 このプロジェクトは、生前契約(死後事務委任契約)を始めとして、生活支援、成年後見、身元保証、葬送支援・納骨支援を行うというものです。
 
 プロジェクトを始めることになったのは、2年ほど前、檀家で認知症に近い状態になっていた女性が、身の回りの世話をしていた人(全くの他人、後見人でもない)に、多額の財産を勝手に使われてしまっていたという事件がきっかけです。
女性の死後、初めて、この状況がわかったのですが、こうした事件を見て住職は、「お寺が、親代わりになって、面倒を見てあげることはできないか」と考え始めたのです。
 
 特に永代供養墓には、子どもがいない人が多く申し込んでいるわけですが、そうした人が困っているのは、納骨の問題だけではありません。
葬儀をしてくれる人もいないであろうし、高齢になって一人で生活できなくなった時に生活支援してくれる人もいない可能性があるのです。
 
 「今後、増えてくると思われるこのような人たちを、継続して支援していくための仕組み作りをしたい」と、住職から相談があったのです。
 
 私も以前から、こうした支援はお寺がやるべきことだという思いがあり、二つ返事でこのプロジェクトのサポートをすることになりました。
 
 まずは仕組みづくりです。これは大きく二つの仕事がありました。
 
 地域の専門家とのネットワークをつくることです。
地域の司法書士、地域包括支援センター、ケアマネージャ−、葬儀社などに協力を要請するとともに、具体的な協力体制を整えていただいた。
 
 そしてもうひとつ、このプロジェクトでは、お金を預かったりする可能性があるので、信頼性を担保するために、宗教法人とは別の法人(今回は一般社団法人)を設立して、そこを受け皿とするということです。
 
 また、このプロジェクトは、かなり長期にわたり、赤字を出す可能性が高く、お寺からの補助金で運営せざるを得ないことが予想されました。そのためお寺の総代会の同意も必要でした。総代に対して何度も説明会を開き、説得をするということも重要な仕事でした。
 
 そして一昨年春に法人設立に至り、その夏くらいから、檀家や地域の方々からの相談を受け始めるようになったのです。
 
 現在では、生前契約(死後事務委任契約)を行ったのが二人、うち一人は、施設を探す手伝いをして、入所するための身元引受人も引き受けました。またもう一人は、民生委員と連携をとりながら、生活の見守りを行っています。
 
 今後、こうした支援が必要な人が増えていくのは間違いありません。
 
 ただし、こうした事業は収入と支出のバランスが悪く、運営上の問題は少なくありません。独立したNPO法人が行っている場合など、寄付に頼らざるを得なく、どうしても継続性に問題を抱えてしまいます。だからこそお寺が関わって、この支援を行うことに意味があるのです。何よりも、これは人の老病死に関わる支援です。まさに仏教が関わるに相応しい仕事だと思います。

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